「平均fpsは高いのに、なぜか一瞬だけガクッとなる」
「新しいエリアに入るたびに一瞬フリーズする」
この「常時低fpsではなく瞬間的なカクつき」はスタッター(stutter)と呼ばれ、
fps低下とは別の原因で起きます。
スタッターの主因はCPU・ストレージ・バックグラウンド処理・温度の4つで、GPUが原因のことは少ないです。
正しい原因を特定すれば、設定変更や低コストのパーツ交換で解決できるケースがほとんどです。
この記事では発生タイミング別の原因分類・確認手順・即効性のある対策をまとめます。
スタッターとは何か|「fps低下」との違いを理解する
スタッターと通常のfps低下を混同している方が多いので、まず定義を明確にします。
| 現象 | 症状の特徴 | 主な原因 |
|---|---|---|
| fps低下 | 平均fpsが常に低い(60fps出ない状態が続く) | GPU性能不足・解像度・設定が高すぎる |
| スタッター | 平均fpsは高いのに瞬間的(0.1〜2秒)にガクッとなる | CPUスパイク・ストレージ・バックグラウンド・温度 |
スタッターを正確に説明すると「フレームタイムの急上昇」です。
144fps時のフレームタイム(1フレームに使う時間)は約6.9msです。
スタッター発生時はこれが一瞬50〜200msに跳ね上がり、視覚的に「ガクッ」となります。
平均fpsが140fpsでも1フレームだけ200msになれば、そのコマで「止まった」と感じます。
| fps | 正常フレームタイム | スタッター時のフレームタイム(目安) | 体感 |
|---|---|---|---|
| 30fps | 33.3ms | 100〜200ms | 数秒フリーズしたように感じる |
| 60fps | 16.7ms | 50〜150ms | 一瞬止まった→急に動く感覚 |
| 144fps | 6.9ms | 30〜100ms | ガクッとなる感覚が顕著 |
フレームタイム計測には「MSI Afterburner + RivaTuner Statistics Server(無料)」のオーバーレイが有効です。
「Frametime」グラフで急激な山型のスパイクが見えれば、それがスタッターの発生点です。
【まず確認】スタッター 原因特定フロー
以下のフローにStep順に従ってください。
使うツール:タスクマネージャー(Ctrl+Shift+Esc)と無料ツール「HWiNFO64」
【スタッター 原因特定フロー】
▶ Step 1:カクつきはどのタイミングで起きるか?
├ 新エリア移動・ロード直後に毎回起きる
└ → 原因② ストレージ読み込み遅延(タスクマネージャーでディスク使用率100%を確認)
├ 戦闘開始・爆発・大勢の敵出現時に起きる
└ → 原因① CPUスパイク(CPU使用率が瞬間的に90%超になっていないか確認)
└ 特定タイミングなくランダムに起きる → Step 2へ
▶ Step 2:カクつきはいつから起きるか?
├ ゲーム開始直後から起きる
└ → 原因④ バックグラウンドプロセス(タスクマネージャー→プロセスでゲーム以外のCPU消費を確認)
└ 30〜60分後から起きるようになった → Step 3へ
▶ Step 3:温度を確認する(HWiNFO64 or MSI Afterburner)
├ CPU温度 90℃以上 または GPU温度 85℃以上
└ → 原因⑤ 温度によるクロック低下
└ 温度は正常 → Step 4へ
▶ Step 4:メモリ使用量を確認する
├ メモリ使用量が 80%以上(例:16GBなら12.8GB超)
└ → 原因③ メモリ不足・スワップ
└ すべて正常 → シェーダーコンパイル・ゲーム側の最適化不足を疑う(後述)
発生タイミング別|原因の早見表
| 発生タイミング | 疑うべき原因 | 最初に確認すること |
|---|---|---|
| 新エリア移動・ロード直後 | ストレージ読み込み遅延 | ディスク使用率100%になっているか |
| 戦闘開始・多数の敵出現 | CPUスパイク | CPU使用率が瞬間90%超になっているか |
| 移動中・走行中(特定の場所) | シェーダーコンパイル・ストレージ | 初回プレイかどうか(後述) |
| ランダム・予測不能なタイミング | バックグラウンドプロセス | タスクマネージャーでゲーム外プロセスを確認 |
| 長時間プレイ後(30分〜) | 温度上昇 / メモリ不足 | CPU/GPU温度 + メモリ使用量 |
| ゲーム起動直後から頻発 | バックグラウンドプロセス・Windows Update | タスクマネージャー上部のCPU消費プロセス |
原因① CPUスパイク|瞬間的な過負荷でフレームが止まる
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発生タイミング | 戦闘開始・大規模爆発・複数プレイヤーが密集する場面 |
| 仕組み | AIの行動計算・物理演算・パーティクル処理が同時に集中し、CPUが一時的に処理追いつかなくなる |
| 確認方法 | タスクマネージャー → パフォーマンス → CPU → グラフで「急激な山形スパイク」が出ているか確認 |
| 要注意の数値 | CPU使用率が瞬間的に90%以上になっている / 平常時は50%台でも戦闘中だけスパイク |
| 即効対策① | 電源プランを「高パフォーマンス」に変更(設定→電源とスリープ→電源の追加設定)。省電力プランではCPUクロックが制限されスパイク時に追いつかない |
| 即効対策② | ゲーム設定でNPC数・物理演算品質・パーティクル密度を下げる |
| 根本対策 | CPU交換。特にRyzen 7 7800X3D(L3キャッシュ96MB)はゲーム向けCPUとして同世代の通常品より10〜20fps・スタッター頻度が減少するケースが多い |
改善例:Core i5-10400F搭載PCでARK SA(マルチプレイ)をプレイ中、敵が10体以上出現するたびに約0.3秒のカクつきが発生。
電源プランを「高パフォーマンス」に変更しNPC密度設定を下げたところ、スタッター頻度が約60%減少。
その後Ryzen 5 7600Xに換装して根本解決。
原因② ストレージ読み込み遅延|HDD・低速SSDが引き起こす「ロード系スタッター」
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発生タイミング | 新エリアへ移動した直後・オープンワールドの探索中・マップ切り替え時 |
| 仕組み | ゲームが次エリアのテクスチャ・音声データをストレージから読み込む際、HDD/SATA SSDでは速度が追いつかず処理待ちが発生する |
| 確認方法 | タスクマネージャー → パフォーマンス → ディスク → スタッター発生時に使用率が100%になっているか確認 |
| ストレージ速度比較 | HDD:約150MB/s / SATA SSD:約500MB/s / NVMe Gen3:約3,500MB/s / NVMe Gen4:約7,000MB/s |
| 即効対策 | ゲームの「テクスチャ品質」を下げてストレージからの読み込みデータ量を減らす |
| 根本対策 | NVMe SSDへ換装。HDD→NVMe Gen4換装でロード系スタッターがほぼ消滅するケースが多い(費用:1TB NVMe SSD 5,000〜12,000円) |
改善例:HDD搭載PCでCyberpunk 2077をプレイ中、区画をまたぐたびに1〜3秒のカクつきが毎回発生。
NVMe Gen4 SSD(7,800円)に換装したところ、区画移動時のスタッターが完全に消滅。
費用対効果として最も高い改善例の1つです。
【コラム】シェーダーコンパイルによるスタッターとは
DirectX 12・Vulkan対応ゲームでは「シェーダーコンパイル(Shader Compilation)」が原因のスタッターがあります。
これはゲームが新しいシーンで必要なグラフィック命令(シェーダー)をリアルタイムでGPU用にコンパイルする処理です。
特定の場所に初めて到達した瞬間に一度だけカクつき、2回目以降はキャッシュが使われるため発生しなくなります。
このシェーダーコンパイルスタッターの対策:
- ゲームの「シェーダーの事前コンパイル」オプションがある場合は起動時に実行する(例:Cyberpunk 2077・Fortnite)
- DirectX 11モードで起動するとシェーダーコンパイルスタッターが減る場合がある(画質は若干下がる)
- NVMe SSDに換装することでコンパイル済みシェーダーキャッシュの読み書きが速くなり頻度が下がる
原因③ メモリ不足によるスワップ|容量・チャネル構成がカクつきを生む
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発生タイミング | プレイ開始は正常、時間が経つにつれてカクつきが増える。マルチプレイで人が多いサーバーに入った直後 |
| 仕組み | 物理メモリが不足すると、Windowsは一時的にストレージを「仮想メモリ(スワップ領域)」として使う。ストレージのアクセス速度は物理メモリの数百〜千分の1のため処理が止まる |
| 確認方法 | タスクマネージャー → パフォーマンス → メモリ(使用量が80%超・グラフが天井に張り付いていないか) |
| 要注意の数値 | 16GBで12.8GB以上(80%超)使用中、かつディスク使用率が同時に上昇していればスワップが発生している |
| シングルチャネルの問題 | 16GB(1枚刺し)は帯域幅が2枚刺しの半分。帯域不足でフレームタイムの変動が大きくなりスタッターが起きやすい |
| 即効対策 | ゲーム起動前にブラウザ・Discord・配信ソフトを最小化または終了してメモリを確保する |
| 根本対策 | 32GB(16GB × 2枚)への増設。シングルチャネルの場合は同規格のモジュールを追加してデュアルチャネル化(費用5,000〜12,000円) |
改善例:16GB(8GB × 1枚・シングルチャネル)のPCでApex Legendsをプレイ中、銃声が多い戦闘シーンで0.1〜0.2秒のカクつきが頻発。
同規格の8GB × 1枚を追加してデュアルチャネル16GBにしたところ、スタッター頻度が大幅に減少。
メモリ1枚の費用(約3,000〜6,000円)で体感が大きく改善した事例です。
原因④ バックグラウンドプロセス|見えない処理が引き起こすランダムスタッター
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発生タイミング | 特定のタイミングなくランダムに発生。「さっきは問題なかったのに今日は頻繁に出る」という特徴がある |
| 主な犯人 | Windows Update(ゲーム中に自動実行)、ウイルス対策ソフトのフルスキャン、OneDrive/Dropboxの同期、Discordのビデオ処理、ブラウザの動画再生 |
| 確認方法 | タスクマネージャー → プロセスタブ → CPU列を「使用率」でソートし、ゲーム以外に5%以上消費しているプロセスがないか確認 |
| Windows Update確認 | タスクマネージャー → 「Windows Update」「TiWorker.exe」「MsMpEng.exe(Defender)」がCPU/ディスクを消費していないか確認 |
| 即効対策① | Windowsゲームモード有効化:設定 → ゲーム → ゲームモード → ON(バックグラウンドリソースを自動制限) |
| 即効対策② | ゲーム前にブラウザ・クラウド同期・不要アプリを手動終了。タスクマネージャーで不要プロセスを右クリック→タスクの終了 |
| 即効対策③ | Windows Update のアクティブ時間を設定(設定→Windows Update→詳細オプション→アクティブ時間)。ゲームをプレイする時間帯はUpdateの自動実行を止める |
改善例:VALORANT中に毎日18時ごろランダムにカクつきが発生。
調査したところWindows Updateが毎日18時に自動ダウンロードを開始していることが判明。
アクティブ時間を0〜24時に設定してUpdate自動実行を制限したところ、スタッターが消滅。
原因⑤ 温度によるクロック低下(サーマルスロットリング)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発生タイミング | ゲーム開始後30〜60分から頻度が増える。夏場・室温が高い環境で悪化する |
| 仕組み | CPU/GPUが設計上の安全温度に達すると自動でクロックを下げ発熱を抑える。クロック低下の瞬間にフレームタイムが跳ね上がりスタッターとして現れる |
| 確認ツール | HWiNFO64(無料)またはMSI Afterburner。ゲームプレイ中にCPU温度・CPU周波数・GPU温度・GPUクロックを同時モニタリング |
| スロットリング発動の目安 | CPU:90℃以上で動作周波数が自動低下 / GPU:85〜90℃以上でコアクロックが下がりfpsが変動する |
| 即効対策① | エアダスターでPC内部のホコリを清掃。ファン・ヒートシンクのホコリ詰まりは温度を10〜15℃上昇させる(費用:500〜1,500円) |
| 即効対策② | PCケースのサイドパネルを外して室温の空気を直接当てる(応急処置として有効。ただし長期使用はホコリ混入リスクがある) |
| 根本対策 | CPUグリスの塗り直し(5〜10℃改善の可能性)/ ケースファン追加 / CPUクーラーを大型空冷または簡易水冷に交換 |
改善例:3年使用のBTO PCでフォートナイトのランク戦中に戦闘シーンで0.2秒カクつきが頻発。
HWiNFO64で確認したところCPU温度が92〜95℃で安定(スロットリング発動中)。
エアダスター清掃だけで温度が82℃に低下し、スタッター頻度が8割減少。
その後グリス塗り直しで76℃まで下がり完全に解消した。
よくある勘違い|「スタッター = GPU問題」は間違い
勘違い①「平均fps 144出てるのになぜカクつく?」
タスクマネージャーやゲーム内fps表示は「平均値」です。
平均144fpsでも、1フレームだけ200ms(実質5fps相当)になればその瞬間はカクつきとして体感されます。
フレームタイムの「最悪値(0.1%ile・1%ile)」をMSI Afterburnerで確認するのが正確な診断方法です。
勘違い②「GPUを新しくすればスタッターは治る」
GPU使用率が60%以下の状態でスタッターが起きているなら、GPUに仕事が来ていないためGPU交換は無意味です。
CPUスパイク・ストレージ・メモリが原因の場合、いくら高性能なGPUを積んでもスタッターは解消されません。
原因特定フローで確認し、GPUが真の原因(GPU使用率95%以上でのfps上限)の場合にのみGPU交換が有効です。
勘違い③「軽いゲームなのになぜカクつく?」
Minecraftや原神など比較的軽いゲームでもスタッターは発生します。主な理由は:
- チャンク・エリア生成処理(Minecraft等):探索中に新チャンクをリアルタイム生成する処理がCPUとストレージにスパイクを起こす
- バックグラウンドUpdateが重なる:軽いゲームはGPU・CPU余裕があるためWindows側の処理が割り込みやすい
- シェーダーコンパイル:DirectX 12/Vulkan採用ゲームでは軽くても初回シェーダーコンパイルスタッターが起きる
- メモリ帯域不足(シングルチャネル):ゲーム自体は軽くてもデュアルチャネルとシングルチャネルの差がフレームタイムの安定性に影響する
NG行動|やってはいけない間違った対処
| NG行動 | なぜNGか | 正しい行動 |
|---|---|---|
| 原因不明のままGPU交換 | CPU・ストレージ・バックグラウンドが原因のスタッターは、GPU交換では解決しない。無駄な5〜20万円の出費 | フローチャートで原因を特定してからパーツ交換を検討する |
| フレームレート上限を外す | fps上限なしで動作させると不要な高fpsをGPUが処理し続け温度が上昇。逆にスタッターが増えるケースがある | モニターのリフレッシュレートに合わせたfps上限を設定する(例:144Hzモニターなら144fps上限) |
| PC高速化ソフトを導入する | フリーの「PC最適化ソフト」は効果がなく、逆にバックグラウンドプロセスを増加させる。悪質なものはマルウェアの可能性 | Windows標準のゲームモード + 手動プロセス停止で十分 |
| ドライバ更新だけで解決しようとする | ドライバ更新が有効な場合もあるが、ハードウェアボトルネック・ストレージ・バックグラウンドが原因のスタッターは解決しない | まず原因特定、ドライバ更新はその後の追加対処として試す |
まとめ|スタッターは「原因ごとに対策が違う」
スタッターはfps低下と異なり、瞬間的な処理負荷の集中・待機が原因です。
原因を特定してから対処することで、低コストで解決できるケースがほとんどです。
| 原因 | 即効対策 | 根本対策 | 費用目安 |
|---|---|---|---|
| CPUスパイク | 電源プラン→高パフォーマンス / NPC数設定を下げる | CPU換装(Ryzen 7 7800X3D等) | 無料〜6万円 |
| ストレージ遅延 | テクスチャ品質を下げる | NVMe SSD換装 | 5,000〜12,000円 |
| メモリ不足・シングルCH | ブラウザ・アプリ終了 | 32GBへ増設 / デュアルチャネル化 | 3,000〜12,000円 |
| バックグラウンド処理 | ゲームモードON / 手動停止 | Updateアクティブ時間設定 | 無料 |
| 温度スロットリング | エアダスター清掃 | グリス塗り直し / クーラー交換 | 500〜15,000円 |
それでも改善しない場合はPC自体の老朽化が原因の可能性があります。
買い替えの判断基準についてはfps低下の原因5選の最終手段セクションを参照してください。
新しいPCを検討している場合はゲーミングPCおすすめランキングも合わせてご覧ください。
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